お芝居レポート


■私のレポの特徴■

役名が決まっていようと、私の中でのイメージが
固まらないうちは役名で書かないです。
逆に言うと、それ以降は基本的には役名で書くので、
ある程度、キャストを頭の中に入れておく必要があります。

一部、私情がわずか入り込みます。

私の思い入れの強いところはやたらと何行も書きます。

ところどころ熱く語るかも知れません(笑)

やたらと無駄に長いレポです。
長くなるのは見てない人にもわかってもらうためと
見た人に私の感想を知ってもらいたいってのと
演じられた方にも知ってもらいたいってとこがあります。


それでもよろしければ是非ご覧になってくださいね♪


今回のお芝居の見どころは……

1.女優CとDがダブルキャストである
2.女優CとDを演じ分ける北原冬子さんに注目
3.女優Cを北原冬子さんが演じた後に寺田はるひさんが演じるため
  冬子さんの演じたものを(変な言い方だけど)凌駕出来るか
4.かなり知られた演題であるため、別キャストでの公演も過去にあり
  同行メンバーに別キャストでのを見た人がいるので、その人の感想に注目

こんな気持ちで観劇に臨みました。


…ということで、当然のことながら、はるひさんが出てない回も見ました。
私の見た限りでは私と同等の回数を見ていらっしゃった方は数名程度だと思います。
あっ…勿論、スタッフとか関係者さんは別です(笑)


22日夜  女優A=嶋崎はるか 女優B=文月くん 女優C=北原冬子 女優D=平野智恵

初めて見るこの演題のイメージが決まるのはこの公演です。
私はスタッフの方の指示に従いまして…奥のほうの席を取りました。
……ちょうど鏡台の目の前の最前列でしたが(^^;

そして満席の状態になり、場内放送がかかります。
携帯や時計のアラームを切るなどの注意事項が流れます。
……5公演あるからきっとこの声はキャストの人達なんだなって思いながら聞いてれば
よかったのですが…この回はチェック出来てませんでした(^^;


曲が一気に重くなり暗転
ナレーションが入る。

青を基調としたライトにより舞台が照らし出されます。
向かって右の階段を嶋崎さんが降りて来られました。
…が、出てきたのは嶋崎さんだけでなく文月さんもです。
どうやらスタンバイしてたみたいです(^^;;

このお2人が小さな鏡台の前に座ると
舞台左奥に光が当たり、そこから北原冬子さんが登場です。

まさに女優です。
勿論、衣装を着ているからってことではありません。
表情とかもまさにそのもの女優でした。
これで私の中の女優Cのイメージはある程度確定されました。


「私はカモメ………いいえ、違うわ。 私は女優………」

こういった一人でのお芝居が続きます。
見えない相手に対して、いかにも相手役が居るかのように演じられる姿は
まさに楽屋での稽古の模様のようで、息を飲みました。


女優Cが楽屋からステージに向かいました。
嶋崎さんと文月さんが喋りだします。
まだこの段階ではどういう性格付けなのかがわかりません。
ただ、文月さんの演じる役がどっちかというとかわいらしい役だってのは
わかりました。

帽子を忘れたのを思い出して、急いで取りに来る女優C。
そして椅子の上の帽子を見つけ、引っ張る女優C。
しかしその帽子の上には文月さんが座ってます。
でも気がつかないってことは、文月さんの演じてる女優Bは生きてる人ではないってことが
この段階でわかりました。

そこでの帽子の引っ張り合い…
そして少しキレる女優C。
「いつでもこの辺(向かって右奥)によどんだのがたまってる」(ごめんなさい…正確な言い回しを忘れました)
…と言い放ち立ち去る女優C。

その言葉に反応する嶋崎さん。
どっちかというと文月さんの役より年上のような設定だとすぐにわかります。

女優Bがやたらと「たまってる」に引っ掛かりを感じてます。
このシーンは結構、「たまってる」の言い回しが面白い上に「なんか有害って感じ」という言葉に
妙に納得してしまってる自分がいました(笑)
ただ、23日夜はこの台詞で笑いが起きなかったのですが、24日以降は時々笑いが出るようになりました。

2人の会話から女優AもBもかつては女優付きのプロンプターだったことが判明します。
そしていつかその女優の位置に自分が立ちたいと願っていたが夢が叶わず散ってしまったこともわかりました。

そこで出てくるのがシェークスピア『マクベス』です。
女優Bがその台詞を口に出して演じると…暫くして女優Aのツッコミが入ります。

「それって……、戦後の訳?」

ここで女優Aは戦前の女優の霊だということが判明します。
そしてそれと対比される女優Bは戦後の女優の霊だということもわかりました。


そしてここからこの2人のかつての演じた役の話が進みます。
女優Aの思い出の作品「斬られの仙太」
嶋崎さんの演技に注目が集まります。

その横で女優Bは、女優Aが演じた役がどれかを詮索してます。
しかしなかなか出てきません。
女優B「ま〜だ〜?」
完全にだだっこ状態に陥って仰向けになって脚までばたばたさせてる女優B。
文月さんが小動物に例えられるってのがなんとなくここの仕草で納得(笑)

カッコイイ演技が続く女優A。
結局は女優Aは仙太の相手役の後ろに控える博徒7人のうちの1人
じっと剣を構えて歯を食いしばり無言だというオチがつきます。
この時の嶋崎さんの…「もう出てるんだよ。」とか「こ…このへんに。こうやって。」とかいう演技も
すっごくいい味が出てたと思います。

そして今度は女優Bへ詮索をはじめる女優A。
女優Cの帽子の一件で、チェーホフ作『カモメ』のニーナをやりたかったのではという話になります。
そして詮索し、女優Aは女優Bを乗せることに成功。
しかし、だんだんと話がずれていき、ついには互いの古傷に触れ合う始末。
ついにこらえきれずに女優Bが女優Aにキレます。
そして口論となり、

女優A「このドブネズミが」
女優B「この…トゲネズミ!」


確か25日昼はこの女優Bの「トゲネズミ」がすんなりと言葉になったのですが
他の公演は「ト…ト…トゲネズミが!」という形で溜めて言ってた気がします。

そしてトゲネズミが実在するかどうかの詮索となり
奄美大島の芋畑に生息しているという説が浮上します(笑)
しかしドブネズミと環境が変わらないことと、生活レベルが逆に上ではないかという指摘で
女優Bはまたもくやしがります。


そんなこんなで出てきたのが平野さんです。
まくらをぎゅっと抱えて半分眠そうな感じの目です。
夢うつつな感じで中央の椅子に座ります。

女優Bが平野さんが気になるらしく近づきます。
そして…まくららしきものがまくらそのものであると判明(笑)したと女優Aに報告します。

更にもう一度近づく女優B。
すると平野さんいきなり一言「……ママ…」
なるほど。こういう役なのね。
私の中での女優Dのイメージが確定されました。

そして健康になったとアピールし、良い眠りは良い枕から…という台詞で
またとろけるような感じでまくらに顔をうずめます。

ただ、どう考えてもお母さんは安心しないだろうと思ってると…
やはり女優AもBも同じように自分たちが母親なら心配するようなことを言ってます。

そこへ戻ってくる女優C。
プロンプターの声が聞えないことをしきりに怒ってます。
そして暫くしてようやく女優Dに気付きます。

女優Dが遠回しに、女優Cが年であることなどを理由に
『カモメ』のニーナ役を降りるように迫っています。
しかも…まくらと交換に(笑)

つまり女優Dは病院に入院してる間に、自分は『カモメ』のニーナ役を演じていたのだと
思い込んでいたようです。

ついに切れる女優C
女優Dを床に倒してしまいます。
打ち所が悪かったせいか、一度は起きあがって歩き出したものの
次に登場した時には既に女優Dも女優A・Bの仲間入りをしてました(^^;

女優Dがはけてからの女優Cの台詞も印象的でした。
本当に苦労してその名声や立場を得たことがここで明らかになります。
そしてその地位を守っているのは生半可な気持ちじゃないってことも。
枕で迫ったくらいじゃあ譲れない……。

そして着替えてから女優Cは帰宅の途につきます。

女優Dが登場します。
女優A・Bの姿がわかる立場になっての登場です(^^;

そしてこの3者による会話が続きます。
現実を認めようとしない女優Dですが
そのうち合点がいきはじめたようです。
互いに理解し合えたことで祝杯をあげる3人。
………

そのあと個々に一人芝居を演じたあと…
ナレーションが入ります。


……そこへ女優Cが戻ってきます。
忘れていってしまった(鏡台上の)台本を手にします。

おもむろに鏡台に座り台本を読み込む女優C。
それに合わせて他の3人も個々に自分の手にしてる台本を読みはじめます。


そこで暗転…

そしてお芝居の終了です。




お芝居の内容は少し重い感じがします。
ただ、以前に茶山莉子さんや、そのざきみえさん、荒井静香さん達が演じられた時を知る人によると
「今回の演出のほうが分かり易い」とのこと。
確かに私は今回しか見てませんが、1回でなんとなく伝えようとしたいとこがわかりましたし
その世界観ってのもわかりましたから。
それは演者さん(=演じられた女優さん方)による部分もあるかとは思います。
ただ、それをより魅力的に生かした演出の方の腕によるところも有ったことは事実かと思います。




23日夜  女優A=嶋崎はるか 女優B=文月くん 女優C=寺田はるひ 女優D=北原冬子

22日夜及び23日昼公演とキャストが異なる23日夜の公演について書きます。
基本的には女優A・Bの台詞や女優Dの台詞などに大きな違いは有りません。
女優Cについても台詞の違いは有りませんでしたが……
色々と見た目の違いなどが有りました。


北原さんの演じた女優Cは長髪でした。
北原冬子さんは地毛で演技されてましたが
はるひさんの場合はご存知のようにショートカットですから…
ウイッグを使って演じられました。
そして面白いのは…小道具の中にウイッグを置いておく発泡スチロールの頭の形のやつ
最初から鏡台前に置いてあったということです。

それと、冬子さんの演じた女優Cは、見えない相手に対してニーナ役を練習してましたが
はるひさんはクマのプーさんのぬいぐるみ(NTTのぬいぐるみ電報のやつ(^^;)を相手にして
演じて
おられました。

ここに2人の演じられた女優Cの違いがはっきりと出てました。


そして、まくしたてるように言う台詞…
人もライオンもワシも雷鳥も、角のある鹿もガチョウもクモも、水の中の物言わぬ魚も海に住むヒトデも…
この「ヒトデ」のところで詰まるのですが、
冬子さんの演じる女優Cには無いものがはるひさんにはありました。
それは……きっちり言えた時にするガッツポーズです。
これは…凄く喜んでるなってのがわかる反面、
はるひさんの演じた女優Cってのが実は少しお茶目なのでは?と思わせるものがありました。

これは正しい解釈かどうかわかりませんが、
北原冬子さんの演じた女優Cってのを今の女優に例えるなら……加賀まり子タイプ
寺田はるひさんが演じた女優Cを今の女優に例えるなら……三田佳子タイプ
どちらも女優ではありますが、タイプが違うって感じです。
どうしても前者のほうが「私、女優よ」ってタイプだと思いません?(失礼!)


はてさて、冬子さんの演じる女優Dですが、
やはり台詞などは平野さんと同じなのです。

しかしながら根本的に違うところが何箇所かありました。

まず…泣きそうな時のしぐさなどに若干の差がありました。
かわいらしさでぐすっぐすっと泣いてる感じだったのが、平野さんの女優D。
しゃっくりして、なきじゃくる寸前の状態になってるのが、冬子さんの女優D。

はっきり書いてしまいますけど…
多分、冬子さんが平野さんの演じた女優Dをそのままやっても
冬子さんの女優Dがかすんでしまうと思うんです。
それはキャラの差ってとこかとは思います。

でも…今回のように、それぞれにその両者の違いをわかった上で
冬子さんには冬子さんに合う形で女優Dの生かし方を作り、実際に生かしたところが
冬子さんの凄いとこであり、演出の方の凄いとこかと思います。
はっきり言って…しゃっくりをするなんて私はびっくりしましたし…
24日夜に見た時には最初はマジでしゃっくりしてると思ってしまいまして…
あとで演技とわかってびっくりしてしまいました。
涙まで流していらっしゃいましたし……
本当に女優さんは凄いです。



最後となりましたが、今回のお芝居は本当に素晴らしかったと思っております。
実は…お芝居を全公演見るなんてことは生まれて初めてです。
しかも、はっきり言ってお目当ては寺田はるひさんだけでしたが…
文月さんや嶋崎はるかさん、北原冬子さん、平野智恵さんの演技にも魅力を感じてしまいまして
お芝居後には「もしもこのうちの誰かのお芝居を見る機会があれば見たいな」なんて
思ってしまったほどでした。


一つ心配なのは、演じられてたみなさんが風邪気味であったことです。
はるひさんも本調子ではなさそうでしたし…
本当はもっともっとお話をしたかったのですが…
最終日には舞台衣装のままで出て来られましたので…
風邪などひかせてしまっては私もファン失格ですので(^^;;;;
手短にお話を済ませましたです。


とにもかくにも、お芝居楽しかったですよ。
是非、次回のお芝居があるときにはみなさんもお時間とお金に若干ながら余裕がある場合は
観に行かれてはいかがでしょうか?